ひかるのおにわ

御剣ひかるの日常と、子供達のこと

寿命が縮んだ

夕方、子供達に見つからないようにこっそりと買い物に行った。
帰ってきて、買ったものを冷蔵庫などにしまって、子供達が変わりない様子なのにほっとしつつ、寝室に引きあげてニュースを見つつパソコンを触っていた。
ちょっとしてボウズがやってきて「ムスメちゃんがいなくなった」と言う。
じいちゃんが寝ている間にムスメがいなくなったと言うではないか。ボウズをその場に残してお義父さんの部屋を見に行くと二人ともいない。他の部屋を見たがやはりいない。一度脱走歴のあるムスメだ。最近我がままをよく言うし、まさか何かにへそを曲げて家を出たのか、それでいなくなったムスメを探してじぃちゃんが外に探しに行ったのか、と慌ててボウズのところに戻って話をよく聞いてみる。
おじぃちゃんが寝ていて、テレビを見ていて、でもムスメがいなくなった、とボウズが言う。

これは本格的に探しに出ねば。あぁまた脱走させてしまった。ちゃんと無事ならいいけれど、と一気に心配になる。
しかし、玄関に行ってみたら、ムスメの靴はある。
ムスメは外に出る時は必ず靴を履く。前の脱走の時もそうだったし、特に今の靴はお気に入りなのだ。裸足で庭に行くことは時々あっても、門の外に出る時は必ず履いている。
おかしいな、と思ってボウズにもう一度聞いてみた。
「ムスメちゃんの靴あるけど、一人で出て行ったの? ムスメちゃんがいなくなったときのこともう一度話してみて」
「じぃちゃんが抱っこしてたけどいつの間にかいなくなってた」
「じぃちゃんとムスメちゃん一緒に?」
「うん」

脱力。

そうこうしていると、じぃちゃんに抱っこされたムスメが帰ってきた。
パパがそろそろ帰ってくるかと外に見に行っていたらしい。
ボウズ、テレビに夢中で気付かなかったのだろう。

緊張の糸がぷっつりと切れた。と同時にボウズに一喝していた。
まったく、心配させる言い方するんじゃないよ。寿命縮むよ。
後で冷静になって考えたら、ムスメがいないとお義父さんが気付いたら、まず家を探すからわたしのところにも来るはずだ。でも気が動転するとそんなことにも気づかないよね。
家事、育児の合間のほっとタイムがとんでもない緊張感に包まれてしまったよ。でもまぁ、とにかく何もなくてよかった。