ひかるのおにわ

御剣ひかるの日常と、子供達のこと

警察沙汰

 夕方、ボウズが家出をした。
 きっかけはわたしと遊んでいたゲームで勝てないことに拗ねた、といういかにも子供らしい理由なのだが。じゃんけんだったので手加減ができなかったのだ。

 ボウズが家の中にいないのに気付いたのは、恐らく彼が外に出て10分も経っていなかったころだと思う。
 ムスメが酷く泣いていたのであやしていて、それが落ち着いてから家中さがしてもいない。靴もないというので探しに出た。
 前にも何度か怒られたか何かで門外へ勝手に出て行ったことはあったがせいぜい近所をうろついている程度だったので、また近所にいるだろうと思っていたがいない。公園もドラッグストアも探したがいない。
 これは本格的にまずいと思って留守をお義父さんに任せて自転車で遠くを探し始めた。
 ボウズが立ち寄りそうなところといえばショッピングセンターかと思って、そちらの方へと向かった。幼稚園や療育の園も考えられたが夜は閉まっていることはボウズも判っているはずなので選択肢からはずした。
 こんな日に限ってダンナは病院に行っていていない。
 きっかけがわたしとの遊びだったので責任を感じつつ、どうか無事でいてほしいと願うばかりだった。

 しかしショッピングセンターでは見つけられず、そこで家に電話をしたら近所の交番に保護されているという。
 家に戻って印鑑を持って交番に向かう。
 だがこの交番、今まで一度も行った事がなかったので場所がうろ覚えだった。行き過ぎていることに気付いて引き返す最中に歩道から民家の植え込みの方へ転落するというアクシデントもあったり。
 しかも保護したことに承諾する捺印をしようと思ったら、印鑑がない。転倒したところに落としたのだろうと探しに戻って10分ぐらいごそごそ探してようやく見つけた。

 ボウズは親切な女の人が交番まで連れて行ってくれたそうだ。女の人は名乗らずに帰ったというのでお礼はできなかったが、とにかくいい人でよかった。
 見つかったのは家から500Mほどのところらしい。道に寝ているところを発見されたとか。拗ねて出たはいいけれど、帰れなくなって疲れて寝ていたようだ。

 まさに警察沙汰というおおごとになっていながら当のボウズはけろっとしている。
 ひとりで勝手に外にでてはいけないとおまわりさんに言われて素直に返事はしたものの、自分がどれだけ周りの人に心配をかけたかなんて判っていないし、話して聞かせてもピンとこなかったようだ。

 警察から帰る前にダンナに電話をして無事に見つかったと報告。
 家に帰ってから、じぃちゃん、パパに叱られるがやはりへらへらとしている。
 だがダンナが言うには、反応を見ていると、ボウズなりになにか思うところはあったようだ、と。そりゃ何も思ってもらわなかったら困る。
 まぁ無事に見つかったことだし、叱るのは今日だけにして、とにかく何があっても勝手に家から出ないことだけは、強く言い含めておくことにしよう。

 さて遅くなったが夕食を作るか、と思ったが、ほっとした瞬間、自転車でこけた時にひねった足が急激に痛み出した。
 それならもう簡単に済ませるよ、とお義父さんもダンナもボウズも茶漬け。ムスメは残っていたベビーフードをもらったようだ。

 やれやれ、とんでもない目にあったが、とにかくボウズが無事でよかった。