ひかるのおにわ

御剣ひかるの日常と、子供達のこと

無視作戦

 日曜日。
 友達が遊びに来ることになっているので朝からみんなで家の片付けをしていた。
 しかしムスメは自分が出したおもちゃも片付けないし、日記の宿題もまだだった。
 まずは宿題をしてから片付けるように言って、わたしとダンナが掃除を続けていたのだが、ちらちらとムスメの様子を見ても、テレビなど見ていてやる気がなさそうだ。
 ダンナが注意して、やっと宿題にかかったかと思ったら、今度はじぃちゃんが部屋を片付けるように言ったらしい。

 ムスメはいつもじぃちゃんの部屋を散らかしっぱなしなので(わたしらも気づいたら片付けるように言うがやらない)、とうとうじぃちゃんがキレちゃって、ムスメのおもちゃをゴミ袋に入れ始めた。
 ムスメは宿題しろとパパに言われたから宿題していたのに、じぃちゃんにも片付けろと言われて、宿題を優先していたらキレられちゃったので、このあたりは大人の連係ミスでムスメがかわいそうだったのだが、日ごろが日ごろだけに仕方がないところもある。

 ムスメは泣いてすがって、どうにかおもちゃを取り戻して宿題を再開させ、終わらせた。
 そこでわたしが、今まで約束を守らずに取りあげたおもちゃは、1学期(あと2週間)の間に宿題や片付け、次の日の持ち物の準備をきちんとしていたら返すことを約束した。ムスメも、危うく数少なくなったおもちゃを捨てられそうになったばかりなので必死に「きちんとまもる。ゆびきり」と約束した。

 だが、昼と夕方にムスメに明日の用意をするように促しても、みんなでご飯を食べに行く時間になってもやっていなかった。
 今朝の約束はなんだったのか、とがっかりした。

 ムスメはきっと心のどこかで、ママはなんだかんだ言って優しいから許してくれると思っているに違いない。
 もうこうなったら少々きついことをしなければ、と無視することにした。
 もちろんきちんと叱り、ムスメの、簡単に約束を破るという態度でどれだけわたしが悲しい思いをしたのかを伝え、これ以上話していると辛く当りそうだから、と前置きをした。
 他の家族には普通に接する。ムスメには必要なお世話もするし、必要な会話もするけれどそれだけ。笑顔もなし。
 これでしばらく様子を見ようと思う。
 これで駄目ならもうムスメのそういった面の教育は今の段階では無理とあきらめるしかない。
 家族で無理なら、そのうち友人関係で痛い目を見て学ぶだろう。

 さすがにそこまでの強硬策を取ったら、ムスメはきちんと理解してくれると、信じてていいよね。


 月曜日。
 ムスメを無視して1日経った。
 ムスメは帰ってくるなり宿題を済ませ、大声で音読して、鍵盤ハーモニカも吹いた。
 Aちゃんが遊びに来たので、Aちゃんの家に行ったが、わたしは何時に帰るようにとかは言わなかった。
 普段の決まりなら、この時期は遅くても18時半には帰るということになっている。
 ちょっとだけ過ぎたけれどほぼ決められた時間通りに帰ってきて、明日の準備も言われる前にすませたようだ。
 1日目クリアといったところか。

 ムスメは何度か、こっちをみて、ちょっと話しかけてきたりしたけれど、必要以上に答えなかった。
 好きなのに無視するって、結構こっちもつらい。
 ムスメもすごく悲しそうな顔をしている。
 明日の様子をみて、その後どうするか決めてみようか。長引かすのもよくないし。
 しかし、1日でこれだけつらいんだったら、最初から約束守る努力はすればいいのにね(笑)。