ボウズが幼稚園から帰ってきてからしばらくして、いきなり神妙な声で尋ねてきた。
「みんな、いつかしぬの?」
びっくりした。今までにも死について何かしら尋ねてくることはあったが、こんな真剣に心配そうに尋ねられることはなかった。
こんな時、なんて答えればいいのだろう。
自分が親にそんな質問をした時はどうだっただろうか、と思い出そうとしたが、思い出せない。
わたしはあまり死については考えない子供だったのか、それとも記憶に残らないほど早かったのか短期間だったのか。
ボウズには、そうだよ、と答えた。
そうすると、泣き出しそうになっている。
だからこそ生きている間にいっぱいいいこと、楽しいことをしようね。生きるというのはそういうことだよ。
と付け足したら、ちょっと笑顔になって、うん、とうなずいた。
何かがあって尋ねたのだろうかと思ったが、何もないと言う。
しかし、きっと何かがあって、死というものがどういうことか、彼なりに理解して怖くなったのだろう。
いつかは別れることになるんだよ。
でもボウズ、ママは、パパやあなた、ムスメに会えたから、生きていてよかったといってそのときを迎えられると思うよ。
そう思うと、なんだかこっちまで泣きそうになっちゃった。
今を一生懸命生きようね。