ひかるのおにわ

御剣ひかるの日常と、子供達のこと

望まれた破滅 8

 孤児院の爆破事件から、6年が経った。わたし達は、相変わらず路地裏でその日暮らしの生活をしている。

 わたしは、相変わらず図書館にこっそりと出入りして勉強を続けている。ゴミとして出されている雑誌も読んでいた。
 特に力を入れている分野は科学。まだまだ未知の部分が多いこの分野でなら、誰もが驚き賞賛する発見ができるかもしれないから。そうすれば、お金も手に入る。一緒に暮らすあの子たちにも、あたたかな家、あたたかな食事を与えられる。

 その日も、いつもと同じように、図書館へと向かった。
 いつもと違っていたのは、短い間だったけれど孤児院で一緒に勉強していた仲間を見かけたことだった。
 彼は確か、あの事件の1ヶ月ほど前に引き取り手が見つかって、孤児院を出て行った子だ。
 養母と思われる女の人と、楽しそうに話しながら図書館の前を横切っていった。
 幸せそうな彼の笑顔に、ふと、他の子たちのことも思い出された。
 それぞれに引き取られていったみんな、元気だろうか。

 わたしはそれから、仲良くしていた子達の、新しい「家」を訪ねていった。
 元気でやっているだろうか。それならいいのに。
 ただ、それを確かめたかっただけだった。

 ……それなのに。

「うちの子は、おまえのような浮浪児と知り合いでもなんでもない」
「孤児院で知り合いだった? お金でもせびりにきたの? いやらしい子ね」
「もう二度と来ないで。うちの子は、もらい子ではないわ。言いがかりをつけないで」

 大人達の対応は、ほぼ同じだった。まるで野良犬を追い払うかのよう。
 ただ、どうしているのか、知りたかっただけなのに。
 住む世界が違う? 人間であることは同じなのに……!