ひかるのおにわ

御剣ひかるの日常と、子供達のこと

保身のごまかし

 ダンナが午前中に散髪に出た。
 帰ってきてからみんなでお昼ご飯を、と思っていたが予想より帰りが遅い。
 待ちきれなくなったボウズが、先に自分で卵焼き作って食べる、みんなの分も作るよ、と言うので、パパの食べたいものを聞いてから作るから、先に食べるならボウズとムスメの分だけでいいよ、と言っておいた。

 ダンナが帰ってきて、わたしがラーメンを作っていると、ムスメがぼそっと言った。
「お兄ちゃん、たまご捨てた」
 どういうことかと聞いてみたら、ボウズがわたしにみんなの分を作るよと声をかけた時にはもう、卵を5つ割ってといていたそうだ。
 だが、いらないと言われたので、勝手に割ったことがばれると叱られる、と、自分の分だけ作って残りは捨てたんだ、と。

 なんてもったいないことをするんだ。
 一生懸命やっての失敗とかなら、まぁそういうミスもあるよね、気をつけようね、で済んだし、今回の場合だとわたしが「食べる人の分だけで」と言った時に「実はもう卵割った」と言ってくれれば、先走るなと注意こそすれ、それじゃ使う分だけで後は置いといて、とか、割ったなら全部焼いて、とか言えたのに。

 保身のためにごまかしたって、どんな形であれバレるよ。
 ムスメが言わなくても卵の数をチェックしたら判ることだし。

 いつもよくやってくれてるから少々のミスぐらいでガミガミいわないのに。今日だって自分の分は自分で作るって頑張ったわけだし。
 今まで、一生懸命からのミスに対してわたしが必要以上に怒鳴ったりしたことあるか? とボウズに尋ねたら、ない、と。
 なのに目先の「叱られたくない」に心を奪われて食べ物を粗末にするなんてけしからん、と説教。

 罰として、ボウズは今日半日、無料報酬の労働としてこきつかった。
 これで懲りてくれたら、それはそれで、トラブル回避のいい勉強になった、ということで。
 ……懲りておくれよ、ほんとに。